「半沢直樹」の東京中央銀頭取・中野渡 謙(北大路欣也)のモデルはラストバンカーと呼ばれた三井住友銀行頭取の西川喜文氏と推測されています。西川氏の経歴や中野渡頭取との共通点やエピソードを紹介します。
西川善文氏の経歴
西川善文氏は1938年奈良県出身、大阪大学法学部を卒業し、1961年住友銀行に入行しました。
経営難に陥った安宅産業やイトマンなどの商社の不良債権処理で頭角を現して順調に昇進し、
1986年取締役企画部長就任、常務企画部長を経て1991年専務に、副頭取を経て1997年に58才の若さで頭取に就任しました。
2001年にはさくら銀行と合併して誕生した三井住友銀行の初代頭取に就任しました。
2005年まで頭取を努めその後特別顧問に就任します。
2006年には民営化された日本郵政の社長に就任します。
半沢直樹に見た現場主義の重さ (西川善文氏の経営者ブログ) http://t.co/SRy0EbSmTO
— 日経電子版 ビジネス (@nikkei_business) October 22, 2013
中野渡頭取のモデルは西川善文?ドラマとの共通点は?
西川善文氏は中野渡頭取のモデルと推測されています。
ドラマの半沢直樹では東京第一銀行と産業中央銀行が合併して東京中央銀行となりましたが、東京第一銀行に在籍していた中野渡が合併した東京中央銀行の初代頭取に就任しています。(半沢直樹や大和田は産業中央銀行出身)
西川喜文氏は住友銀行とさくら銀行が合併した三井住友銀行の初代頭取に就任していますので
お互いに合併後のメガバンクの頭取というポジションが共通しています。
また、半沢直樹では合併前の東京第一銀行の箕部幹事長(柄本明)を巡っての貸付が問題となっています。ネタバレになりますが、原作「銀翼のイカロス」ではこの問題貸し出しの責任をとって頭取を辞任しています。
住友銀行とさくら銀行が合併したときに旧住友銀行の問題融資が持ち込まれ、合併後問題となり金融庁からの調査が入りました。このため三井住友銀行は過去の不良債権処理をせざるを得なくなり、西川喜文氏は頭取を辞任します。
ちなみにこの三井住友銀行の問題融資で金融庁からに調査に来た目黒謙一氏が片岡愛之助さん演じる黒崎駿一のモデルと言われています。
片岡愛之助は顔でかい?半沢直樹共演者&嫁・藤原紀香と画像で比較!
このあたりの経緯も似ているように思います。
ただドラマでは少し原作とは違う展開なので最終回はどのような結末になるのか気になるところです。
最終回は中野渡常務が辞任するのでしょうか、それとも裏切りがあるのでしょうか?
性格的には半沢直樹?会長に辞任要求?
性格的なところを比較すると「半沢直樹」の中野渡頭取は人を大事にし、派閥意識がはびこる行内の融和を目指している温厚な人格者といった人物に描かれていますが、西川善文氏はどちらかというと果敢に実行していくタイプの人物のようです。専務時代には8000千億円の不良債権の償却を果敢に実施しています。どちらかと言うと中野渡よりも半沢直樹に似ているように思います。
半沢直樹の頭取は無能でポンコツ?敵なのか味方なのか中野渡の思惑は?
西川喜文氏は住友銀行時代に当時行内で絶大な権威を持っていた会長の磯田一郎氏に対して会長職辞任を迫り辞任させたといいます。まるで半沢直樹の倍返しのような話です。
ただしこれは、理不尽な仕打ちを受け、不正を暴き土下座させるといった類のものではなく銀行経営のために会長辞任が必要と考えた西川氏が幹部に根回しをして要望書を作成したといったものです。
ドラマのような怒鳴り合いや謝罪強要があったわけではないです。西川氏は尊敬する人物として磯田一郎氏を上げています。あくまで進言といったものです。
しかしこのような行動的な性格はやはりリアル半沢直樹ですね。
西川氏の生涯についてはこちらの著書をどうぞ。
ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録【電子書籍】[ 西川善文 ]
西川善文の半沢直樹の感想
その西川氏も半沢直樹は見ていたようで、最初のシリーズに対しては以下のコメントを残しています。
ドラマの中では、銀行内部での様々な理不尽が描かれているので、「銀行ではあんなことがあるのですか」と聞かれることもあった。さすがに銀行で上司に対してあんな口のきき方をすることはないが、不正融資もあったし、融資の焦げ付きなどの責任を部下に押し付ける上司もいた。
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不正もあったし責任を押し付ける上司もいたので、半沢直樹の世界がさほど現実離れしているわけではないと言っています。
事実は小説よりも寄なりといいますが、おそらく西川氏が手掛けた案件は実際は半沢直樹よりも数倍迫力があったのではないでしょうか。
そんな西川氏は2020年9月11日に82才で旅立たれました。奇しくも半沢直樹2の放映期間中です。心からご冥福をお祈りいたします。
以上、半沢直樹の中野渡頭取のモデルと言われる西川善文氏についてでした。
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